2015年3月15日
この資料は、アボット ラボラトリーズ社が、2015年3月15日(現地時間)に発表を行ったプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、ご参考として提供しております。オリジナル のプレスリリースの正式言語は英語であり、この内容および解釈については英語が優先となります。この資料の英文オリジナルにつきましては、以下のサイトを ご参照ください。尚、MitraClipは、日本において未承認の製品です。
経カテーテル僧帽弁形成システムに関する初期実臨床使用から得られた良好な最新臨床試験データが2015年度 米国心臓病学会(ACC)にて発表される
サンディエゴ、2015年3月15日-3年ほど前、ミネソタ州ゴールデンバレーに住むベティー・ヴォーンさんは階段を上り下りするたびに、めまいがし、疲労を覚え、息切れするようになりました。医師による診察を受けたところ、ベティーさんは 89歳にして器質性僧帽弁逆流(DMR)と診断されました。DMRとは、心臓の僧帽弁の弁尖が完全に閉じないために血液が左心房に逆流してしまう状態のことです。ヴォーンさんにとって外科手術による治療は適切ではなかったため、アボット・ノースウェスタン病院(ミネアポリス)の心臓専門医であるポール・ソラジャ医師は2014年10月、アボット社のMitraClip®を使用して経カテーテル僧帽弁形成術(TMVR)を行いました。そのわずか数ヵ月後、ヴォーンさんは庭仕事や友達とのカード遊びなど、彼女が大好きなたくさんのことを、元通りにできるようになったのです
ヴォーンさんについてのこのストーリーは、MitraClipがどのような形で僧帽弁閉鎖不全症の患者の症状を改善し、彼らが元通りの生き生きとした生活を取り戻すために役立っているのかを教えてくれます。これは、このたび第64回米国心臓病学会(ACC)学術集会の late-breaking clinical trial セッションで発表された、米国におけるMitraClipを使用した経カテーテル僧帽弁形成術の初期実臨床使用成績における、良好な転帰に至った症例報告のなかの一例です。
アボット社のMitraClipは、僧帽弁が機能不全を呈した状態のひとつである、DMRの患者を治療することを目的としたデバイスです。MitraClipは、高齢者やフレイルな状態 (高齢期に生理的予備能が低下することでストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態で、筋力の低下により動作の俊敏性が失われて転倒しやすくなるような身体的問題のみならず、認知機能障害やうつなどの精神・心理的問題、独居や経済的困窮などの社会的問題を含む概念 - フレイルに関する日本老年医学会からのステートメントを引用) にある患者、その他の複雑な背景因子のため、この疾患に対する標準治療である外科手術を受けられない患者のための、治療オプションのひとつです。僧帽弁閉鎖不全症(MR)は米国におけるもっとも発生頻度の高い弁膜症であり、75歳以上のほぼ10人に1人が罹患している疾患です。MRを有する患者は、階段を上るなどの日常的な活動が困難であり、またその著しい疲労感のため、長い時間休まないと再び動きだせない、といったようなことがあります。
米国胸部外科学会(STS)とACCの協力により計画された経カテーテル弁治療(TVT)レジストリと呼ばれる研究において、MitraClipデバイスのFDA承認取得後、2013年10月~2014年8月の期間にMitraClipを用いたTMVRを受けた患者564名のデータが評価されました。今回報告されたデータにおいては、 対象患者の93%で治療が成功したことが示され、この結果はMitraClipの使用を市販後使用下においても引き続き支持するものでした。治療を受けた患者集団の年齢の中央値は83歳で、いずれの患者もフレイルな状態、またはその他の併発疾患などを理由に、外科手術が適切でないと判断された患者群でした。この研究の統括医師であるソラジャ医師により、本日のACCにおけるセッションでこのデータは発表されました。
ソラジャ医師は次のように述べています。
「今回のMitraClipに関する研究結果は非常に良好であり、また、米国の承認取得前に実施した臨床試験の結果と一貫するものでした。非常に重度のDMRを有しながら、外科的治療リスクが高く、生活を向上させるための他の有効な治療オプションが存在しない患者において、僧帽弁閉鎖不全症の重症度判定において臨床的に有意な低減と、全体的な健康状態の改善が示されました。」
ソラジャ医師はACCのプレゼンテーションの結語において、外科的治療リスクの高い症候性MR患者に対するMitraClip治療は実臨床使用下においても信頼性の高い治療である、と述べました。今回、MitraClipデバイスによる治療を受けた564名から得られた主な知見は以下のとおりです。
- 治療前、90%以上の患者のMRグレードは3度または4度(重度の僧帽弁逆流)であったが、MitraClipによる治療後、93%の患者で2度以下、63.6%で1度以下に有意に低減した。
- 術後入院の平均滞在期間は3日間で、その82%が自宅への退院であった。
- 有害事象および手技上の合併症に関しては、これまでに報告された臨床試験結果と同様、一貫して低い発生率であった。
ヴォーンさんは、MRに苦しみながら生きるということがどんなに辛いものか、知っています。しかし、MitraClipによる治療を受けた結果、ヴォーンさんの人生はより良いものになりました。
「私のドクターは、きっと具合がよくなりますよ、と言ってくれました。それは本当でした。全く違う人生です。今、私は充実した日々を送っています。以前よりずっと元気です。」
僧帽弁閉鎖不全症の詳細については ここをクリック してください。MitraClipについてはwww.mitraclip.comをご覧ください。
* MitraClipは、日本において未承認の製品です。
僧帽弁閉鎖不全症について
僧帽弁閉鎖不全症(MR)は、僧帽弁の弁尖が完全に閉じないために心臓の血液が逆流する、進行性の生命にかかわる重篤な疾患です。MRは不整脈、脳卒中、心不全、死亡のリスクを上昇させます。僧帽弁閉鎖不全症は、400万人以上の米国人が罹患している一般的な病気であり、75歳以上ではほぼ10人に1人が罹患しています1。開胸による僧帽弁外科治療が標準治療ですが、多くの患者は外科的治療リスクが高いために、手術を受けることができない状況にあります。また、この病気に対する薬物療法は症状のコントロールにとどまり、病気の進行を止めることはできません。
経カテーテル弁治療(TVT)レジストリについて
STS/ACC TVTレジストリ™ は、弁疾患患者の経カテーテル弁置換術・修復術や新しい治療法に関連した患者の安全性と実臨床での転帰を追跡するために開発されたベンチマークツールです。米国胸部外科学会(STS)と米国心臓病学会(ACC)が作成したこのTVTレジストリは、弁疾患治療に対する新しいテクノロジーの安全性と有効性を測定することを目的としています。患者背景、治療の詳細、設備、医師情報を収集・報告することで、臨床業務の手法と患者転帰へ洞察を提供できるデータレポジトリを提供しています。
MitraClipデバイスについて
アボット社のMitraClipは、侵襲的な外科的治療をすることなく、僧帽弁を修復します。MitraClipは大腿部(大腿静脈)の血管から心臓へ向かって挿入されます。デバイスが留置されると心臓は血液を効率的に送り出せるようになるため、症状が緩和され、生活の質も向上します。MitraClip治療を受けた患者は一般に短期間で回復し、入院期間も2~3日です2。これまでに世界全体で2万人を超える患者がMitraClip治療を受けています。
重要な安全性情報などの詳細はwww.mitraclip.comをご覧ください。
アボットについて
アボット社は、広範囲のヘルスケアに基盤を置くグローバルヘルスケア企業であり、人々の生活を向上させるために製品や技術を開発しています。主要な事業内容は、科学的知見に基づいた診断薬・機器、医療機器、栄養剤そしてブランドジェネリック医薬品を提供しています。グループ総従業員数約73,000人を擁し、世界150カ国以上で営業活動を行っています。
アボット ジャパンについて
日本国内では、従業員約2,200人が3つの事業会社にて栄養剤、医療機器、診断薬・機器そしてビジョンケア製品を含む医薬品と医療機器に関する製造、研究、開発、流通および販売とマーケティングに従事しています。東京、福井、千葉に主要拠点を置いています。
アボット社(www.abbott.com)、アボット ジャパン(www.abbott.co.jp)、ツイッター(@AbbottNews)も合わせてご参照ください。
問い合わせ先
アボット ジャパン広報 03-4555-1002
Public_Affairs_Japan@abbott.com
1 Nkomo VT, Gardin JM, Skelton TN, Gottdiener JS, Scott CG, Enriquez-Sarano M. Burden of valvular heart diseases: a population-based study. Lancet. 2006 Sep 16;368(9540):1005-11. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/16980116
2 Data on file at Abbott; Rogers, JH, Franzen, O. Percutaneous edge-to-edge MitraClip therapy in the management of mitral regurgitation. European Heart Journal (2011) 32, 2350–2357.