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2014年9月26日

この資料は、アボット ラボラトリーズ社が、2014年9月14日(現地時間)に発表を行ったプレスリリースを日本語に翻訳再編集し、ご参考として提供しております。オリジナル のプレスリリースの正式言語は英語であり、この内容および解釈については英語が優先となります。この資料の英文オリジナルにつきましては、以下のサイトを ご参照ください。

http://abbott.mediaroom.com/2014-09-14-ABSORB-II-Study-Shows-Abbotts-Dissolving-Heart-Device-Comparable-to-the-Worlds-Leading-Heart-Stent

  • アボット社の生体吸収性薬剤溶出スキャフォールド(BVS)が心血管内でステントと同様に機能する一方で、時間の経過とともに分解消失する革新的な医療機器であることを確認
  • 1年経過観察時点の結果は、ベスト・イン・クラスの薬剤溶出ステント(DES)と比較して複数の評価項目で同等性を示し、さらに、狭心症(胸痛)の発生率も低下
  • 最新の試験結果をLancet誌において発表

ワシントンD.C.2014年9月14日– アボット社はABSORB II試験の1年経過観察時において良好な臨床結果を得たことを発表しました。同試験は、生体吸収性のBVS心血管機器の安全性および有効性に関して、市場をリードするアボット社の金属製DESであるXIENCE®シリーズと比較・評価する世界初の前向き、無作為化対照試験です。欧州を中心に実施された同試験では、心疾患において最も多くみられる冠動脈疾患(CAD)の患者501症例を登録しました。結果は、ワシントンD.C.で開催された心血管研究財団主催の年次学術集会である第26回トランスカテーテル心血管治療学会議(TCT)の最新情報セッションにおいて取り上げられ、さらにLancet誌で発表されました。

1年経過観察時点において、BVSの全般的な臨床成績はXIENCEとの同等性を示し、さらに、BVSによって治療した患者では狭心症(胸痛)の発生率が有意に低下しました。患者のクオリティ・オブ・ライフおよび医療制度における費用負担に対して狭心症が及ぼす影響を考慮すると、これは本当に新しい結果であるといえます。BVSは、心臓の狭窄した動脈を拡げ、血流を回復させることにより金属製ステントと同様に機能する世界初の機器です。しかし、BVSはより柔軟で一定の時間をかけて体内で分解消失する点で、血管の機能を制約する金属製ステントとは異なります。そのため、治療した血管内に永久的な留置物を残さず、患者の生活習慣や運動などの活動に基づく心臓のさまざまな要求に応じて屈曲したり、脈打ったり、拡張したりできる可能性があります1, 2 。

ABSORB II試験の治験責任医師を務めるエラスムス大学病院胸郭センター(オランダ・ロッテルダム)の循環器インターベンション科医師のパトリック・W・セロイス博士は次のように述べています。「ABSORB II試験の結果は、1年経過観察時点において、BVSが主要な評価項目に関してベスト・イン・クラスの金属製薬剤溶出ステントと同等であることを示しています。全世界の医師は、この無作為化臨床試験のデータに基づき、さらに自信を持ってBVSを使用することが可能になります。また、BVSによる治療を実施した患者で胸痛の発生率が低下したことは、薬剤溶出ステントですでに実現している優れた臨床アウトカムに加えて、BVSがクオリティ・オブ・ライフに関して特有のベネフィットを提供できる可能性を示しており、将来に向けて大きな期待を抱くことができる所見といえます。」

1年経過観察時点において、総死亡、すべての心臓発作、およびすべての血行再建術の発生・実施率によって構成される患者の視点に立った臨床評価項目では、BVS群が7.3%、XIENCE群が9.1%でした(p=0.47)。一方、機器の視点に立った臨床評価項目であるTLF(Target Lesion Failure)は、1年経過観察時点においてBVS群が4.8%、XIENCE群が3.0%でした(p=0.35)。これらの複合評価項目を構成する個別要素に関しても両群間で同等性が認められました。1年経過観察時点においてBVS群で認められたステント血栓症(ST)の発生率は低く、Academic Research Consortium(ARC)の定義によるdefinite STが0.6%、definite/probable STが 0.9%でした。

1年間の経過観察の過程を通したデータから、退院後における狭心症の発生率に関してはBVS群(16.4%)がXIENCE群(25.6%)より低いことも明らかとなりました(p=0.01)3 。心筋に対して酸素を豊富に含む血液の供給が不足すると、狭心症が発生します。狭心症は患者のクオリティ・オブ・ライフおよび医療費に重大な影響を及ぼします4 。全体として、狭心症を有し、心血管ステント処置を受けた患者では、狭心症のない患者と比較して、狭心症の原因特定を目的とした追加的な診断・治療手段など、より多くの医療資源を使用します。また、狭心症の患者では多くの場合、狭心症のない患者と比べて活動的な生活習慣を送ることが難しくなるため、生活の質が低下します5,6,7。したがって、狭心症の負荷を軽減することによって、患者はより健康的な生活を送ることができ、さらに医療制度の費用負担を抑制できる可能性が生じます。

ABSORB II試験の主要評価項目は、BVSが完全に分解消失する3年経過観察時点における血管運動です。金属製ステントのように血管内に永久的な留置物を残さないため、血管は本来の状態を取り戻す可能性があります。臨床評価項目およびクオリティ・オブ・ライフの測定は、最長3年間にわたって年1回実施します。画像評価項目、すなわち血管内の特殊画像については3年経過観察時点において評価します。

アボット バスキュラーの最高医務責任者兼メディカル・アフェアーズ部門バイスプレジデントであり、FACC、 FSCAIでもあるチャールズ・A・サイモントン医師は次のように述べています。「無作為化対照試験においてBVSとXIENCEとの同等性を示す良好な結果が認められたことから、役割を果たした後に分解消失する心血管機器に対する期待は引き続き高まっています。これらのデータは、BVSにとって重要なマイルストーン達成を表すと同時に、この特有の技術が心疾患の患者に対してもたらすと予想されるベネフィットを具体的に示しています。」

本年度のTCTでは、単群試験においてBVSによる治療を実施した患者約1,500症例のデータも初めて公開します。これらのデータは、実際の医療現場での結果および3年を経過した患者のサブ集団における強力な臨床アウトカムなどの優れた結果を示しており、ABSORB II無作為化試験で認められた良好な結果をさらに補強しています。その他にも、BVS治療から5年経過後における血管内の特殊画像も発表します。このデータは、BVSが完全に分解消失した後の血管が非常に自然な状態を示すとともに、血管運動が回復する興味深いエビデンスを明らかにし、心疾患患者に対してBVSの技術がもたらす飛躍的なイノベーションを裏付けています。

生体吸収性薬剤溶出スキャフォールド(BVS)について

BVSは、心臓の狭窄した動脈を拡げ、血流を回復させることにより金属製ステントと同様に機能する世界初の機器です。しかし、BVSはその役割を果たすと血管壁へと分解消失する点で、血管内に恒久的な留置物を残す金属製ステントと異なります。BVSは、医療用吸収性縫合糸などで一般的に利用されているポリラクチド(ポリ乳酸)で構成されています。BVSは、「仮設構造物」を意味するスキャフォールドと呼ばれ、動脈が自ら開存を維持できるようになるまでスキャフォールドが血管を支持します。BVSは血管へと徐々に分解消失し、永久的な金属製ステントのような制約を受けないため、血管が本来の機能および運動を取り戻す可能性があります1,2 。

米国では、現時点でBVSは治験用医療機器とされるため、法律によって研究目的の使用に限定されており、市販はされておりません。その一方で、BVSは、生体吸収性薬剤溶出スキャフォールドとして世界で初めて国際的な市場で発売されました。アボット社は2011年1月に欧州でBVSのCEマークを取得しました。現在、本製品は世界60カ国で販売され、約60,000人の患者の治療に使用されています。

アボット社のBVSには、同社XIENCE®薬剤溶出ステントに用いられている、細胞増殖抑制剤のエベロリムスが使用されています。エベロリムスはNovartis Pharma AGにより開発され、アボット社は、同剤の薬剤溶出型冠動脈治療機器への使用に関して、同社よりライセンスを取得しています。エベロリムスはその細胞増殖抑制作用により、冠動脈ステントやスキャフォールド内の新生内膜増殖を抑制することが明らかにされています。

アボット バスキュラーについて

アボットバ スキュラーは、薬剤溶出ステントを含む血管系疾患治療分野のリーダーとして市場を牽引する製品や業界をリードするパイプラインと共に世界規模で事業を展開 しています。冠動脈治療、血管穿刺部止血(クローザー)、末梢血管治療、構造的心疾患治療のために多岐にわたる医療機器を提供しています。
詳細 については、www.abbottvascular.jp(日本) www.abbottvascular.com (グローバル)をご覧下さい。

アボットについて

アボット社(NYSE:ABT)は、広範囲のヘルスケアに基盤を置くグローバルヘルスケア企業であり、人々の生活を向上させるために製品や技術を開発しています。主要な事業内容は、科学的知見に基づいた診断薬・機器、医療機器、栄養剤そしてブランドジェネリック医薬品を提供しています。グループ総従業員数約69,000人を擁し、世界150カ国以上で営業活動を行っています。

アボット ジャパンについて

日本国内では、従業員約2,200人が医療用医薬品、栄養剤、医療機器、診断薬・機器そしてビジョンケア製品を含む医療品に関する製造、研究、開発、流通および販売とマーケティングに従事しています。東京、福井、千葉に主要拠点を置いています。

アボット社(www.abbott.com)、アボット ジャパン(www.abbott.co.jp)、ツイッター(@AbbottNews)も合わせてご参照ください。

  1. Absorb completely dissolves except for two pairs of tiny metallic markers, which help guide placement and remain in the artery to enable a physician to see where the device was placed.
  2. Preliminary evidence suggests that natural vessel function is possible with Absorb and may improve long term outcomes.
  3. Data excludes angina episodes that occurred during hospital stay or in the 7 days after the procedure if the patient was still in the hospital at that time
  4. Javitz HS, Ward MM, Watson JB, et al. Cost of illness of chronic angina. Am J Manag Care. 2004; 10:S358-69.
  5. Kempf J, Buysman E, Brixner D. Health Resource Utilization and Direct Costs Associated with Angina for Patients with Coronary Artery Disease in a US Managed Care Setting. Am Health Drug Benefits. 2011;4(6):353-361. www.AHDBonline.com
  6. Hlatky MA, Boothroyd DB, Melsop KA, et al. Medical Costs and Quality of Life 10 to 12 Years After Randomization to Angioplasty or Bypass Surgery for Multivessel Coronary Artery Disease. Circulation. 2004; 110: 1960-1966.
  7. Kohn et al. Impact of angina frequency on health utility values of patients with chronic stable angina. Health and Quality of Life Outcomes. 2014; 12:39.

5-V4.0-127-Rev.A

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